竹内正人 takeuchimasato.com

イベント

「自分の力を信じよう!」~江東区総合区民センター~主催:エンパワーメントバースクラブ

今回は、江東区総合区民センターという都内でも出産や子育てしている世帯が多い地域での講演です。
育児を楽しむ若い夫婦から妊娠中の女性や助産師さんまで大変多くの方が竹内先生の話を聴きに集まりました。

「お産は本来こういう体位が楽なはずなんですよ。」
スクリーンには南米の遺跡から発掘された人型の土偶が映し出されました。
その土偶は、まさに今新しい命が生まれようとしている瞬間を捉え作られたものです。
膝を立てて後ろに手を付き体育座りする母親の股間からは、赤ちゃんが母親を見上げるように顔を出しています。
「今のように仰向けでお産する前は、座るなど本能的に自分が生みやすいと思う姿勢で生んでいたのでしょうね。 そうすると、この土偶のようにお母さんと赤ちゃんは対面できるようになってくるんですよ。 上手くできていますよね、この土偶の赤ちゃんは回旋(かいせん)もいい感じですね(笑)」

スクリーンに映像を映し出す

日本でも昔は、今では考えられないお産のスタイルがあり、僧侶がお産に立ち会った りもしていました。
他に、産婆さんや旦那さん以外に妊婦を支える役割の男性もいた のだそうです。
たくさんの人が見守る中で赤ちゃんは生まれてきていたんです。
一方、西洋では古くからお産椅子が使われていました。
「お産椅子と言っても初期のものは背もたれも手すりもない簡素なものだったので、後ろや横で産婆さんが支えていたんですね。ところが、椅子が豪華になってきて、背もたれや掴み易い手すりも付いてきた。そして、この背もたれが後ろに倒れるようになっていくのです。まさに、分娩台ですよね。一見、便利そうですが、実は椅子の機能がましてくるにつれ、後ろや横で支えている人も要らなくなるんです。器械というものは、人の労働を軽減させるために作られるものです。一見豪華になった椅子ですが、この椅子がだんだんと生む女性を孤独にさせたともいえるんですよ。」
今、問題となっている、「女性は生む器械」発言もこんなところに根があるのかもしれませんね。

本能のおもむくままの姿勢から仰向けでお産をするスタイルの変化には、生活を便利にしていくことになる器械の出現が関係しているようです。テクノロジーと並行して発展してきた近代医療の波は、本来人が持っていた感覚や力といったものまでものみ込んでいったのかもしれません。

現代のお産の現場では、安全なお産を目指すあまり、医療者の意見・視点が優先されるようになり、いつしか、医療者は産ませる、女性は医師のおかげで産むことができたというような意識構造が出来上がってしまいました。
「初めは、一人でも救おうという考えで、医療で人をお産を管理しようとしていました。
ところが、医療の限界を感じ、また、そういう姿勢に疑問を持ち始めてから、いろんなことに悩み、考え、そして、気づくようになってゆきました」

へその緒がつながったままベッドに寝てカンガルーケアで抱っこする母子をさらに包み込むように抱く 父親という三人家族になったばかりのある家族の写真が映されました。
「このお母さんもお父さんも何とも言えない、いい顔してるでしょ。医師がお産の場で主役になってしまうと、そして、その医師が男性だと、父親は萎縮してしまってこんな顔なんてできないものです。よくこの写真を見て、『医師はどこにいるのですか?』と聞かれるんですが、「私が立会ってるのですが、写真を撮っています」と答えています(笑)。 父親のこのリラックスした顔は僕を医師と意識していないからできるんです。医師や助産師というのは、 母親となる女性やその家族が安心してお産が出来る環境の一つとなればそれでいいのかもしれません。」

講演風景

医療が必要なことには変わりはありません。
でもこれからは、医療がどのように関わ っていくのかを考えてゆく時代になりました。
たとえば、お産の安全性をつきつめて 考えていくと、「個々の女性の生む力」をどうすれば引き出すことができるかという ことに行き当たるのだそうです。

その中でも、竹内先生のライフワークとなる「子宮」には、まだまだ先端医学でも計 り知れない力が秘められているようです。
実際、他人の受精卵を育て代理出産を行う、 そんな誰でもを受入れられる臓器など他にありません。
また、誰もがあのほどよく狭 いところ環境で育まれてくる。
いくつになっても、あの子宮環境がきっと、人の原点なのです。
たしかに、いくつになっても、あの子宮に包まれた感覚は忘れられないようです。
「辛いときや不安になると布団にくるまったりすると妙に落ち着きますよね、 人はあの包まれ感“子宮環境”を無意識に作り出しているんですよ。」

竹内先生の息子さんが授業中に体調を崩したと連絡があり、先生しか家にいなかったので、小学校の保健室に迎えに行った時のこと。ベッドで寝ていた息子さんが不安そうに先生の方へ歩いてきました。先生も歩み寄りながら、どうしていいのかわからず、何の言葉もかけられず、保健室の真ん中で息子さんをやさしく抱きとめたのだそうです。そんな時間がしばらく続きました。すると、抱きしめているつもりがなんだか逆に抱きしめられているような不思議な感覚になったそうです。支えているつもりが支えられていると気づいた瞬間、父子の心と体がつながる、言葉は特に必要なくなるのですね。
これはまさに子宮感覚だったんではないかと、竹内先生は感じたそうです。

「つわりのメカニズム」も未だはっきりと解明されていないそうですが、赤ちゃんと子宮からのサインによるのだそうです。つわりは、お母さんの体を調整するデトックスのような作用もあれば、お母さんになる意識づけといった意味合いもあるんです。妊娠中におこってくること全てには、意味があるんです。子宮の中の環境が、将来の生活習慣病との関連まで指摘されるなど、わずか10ヶ月の子宮での生活が、その子の一生を、そして、また次の世代の命まで左右するかもしれない。
そして、陣痛もまた絶妙なタイミングで起こってくるのだそうです。お産は全てを管理できるものではないけれど、まずはその神秘を受け入れてみると、なにか妙な安心が生まれてくる。

ひとりひとりのお産や子育てのプロセスが違うように、それぞれが違っていていいんです。この場合はこうしなければいけないとか、こうすればうまくいくとか、皆と同じ結果になるということではないのです。他との違いを知り、違いを受け入れられるようになる。そうした中で、自分を感じることができれば、そのままの自分を受け入れられることでしょう。
あなたは あなたのままでいいのです。


講演はこの後、主催となるエンパワーメントバースクラブ代表の小野田さんとの対談や質問コーナーもあり 終始和やかな雰囲気のうちに終了しました。

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